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事業内容

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しまね情報化フォーラム'98開催

講演

 ただいまよりパネルディスカッション「Soft business parkは島根を変える」を開催致します。本日のパネルディスカッションのコーディネーターをお願いしましたのは、島根県広瀬町のご出身であり、地元松江北の卒業生でもあります、東京大学社会情報研究所助教授であられます須藤修先生です。今最もホットな話題となっております電子マネーの研究におきましては、日本の第一人者として多方面でご活躍でございます。パネルディスカッションに先立ちまして、新しい言葉であります「デジタルエコノミー」について一言お話をいただけるそうでございますので、先ず須藤先生にご登壇いただきたいと思います。須藤先生宜しくお願い致します。

デジタル革命のインパクト

 ご紹介に預かりました須藤です。先程江崎先生から非常に意味深いそしてスケールの大きいお話を聞きまして、色々な面で感銘を受けました。特にバイオテクノロジー、私も東京大学の総長吉川総長の時、補佐官をやっておりまして、東大白書というのを纏めなくてはいけないということで、私の担当は東京大学の研究開発力というところを責任編集させられたのですが、理科系の研究者が東京大学には現在のところ3,000人ぐらいいるのですが、その約半分は既にバイオテックの研究に携わっております。約50%ですね。それから30数%が情報サイエンス、コンピューターサイエンスです。その他が色々分野があるのですが諸々であると。予算規模もこの比率になっているだろうと思っております。今日のお話を聞きまして、やはり米国はもっといっいるなと、もっと頑張らないといけないなということを感じた次第です。今日はSoft business parkの活性化、2年後に出来ますけれども、それをどう使うかということで、知事をはじめ、いろいろな方々のご意見をお聞きすることになるのですが、コーディネーターとして先づ何故こういうものが必要なのかということで、今のグローバルな動きをご紹介申し上げておこうと思います。
 デジタル革命のインパクトということでお話させていただこうと思います。現在米国はコンピューターサイエンスを中心としてこれで社会の革命を起こそうという動きが高まっております。先程の江崎先生のお話にあったバイオテックがありますけれども、バイオテックが最重要課題になっていると思いますけれども、それのインフラストラクチャーが情報サイエンスだと言っても良いと思います。そのデジタル革命のインパクトというのは多方面に及びます。そこではどういう形でいくかということを少しお話しておこうと思います。

デジタルエコノミー

 デジタル革命のコアの部分は経済システムであるということで、米国政府はデジタルエコノミーという言葉をこの春ぐらいから精力的に使っております。私もお会いして意見交換したことがございますけれども、アイラマガジーナというクリントン大統領の上級顧問がいらっしゃいます。この方が米国政府の政策立案を統括している方ですけれども、彼が3月10日に日本に来た時このように言っていました。新しい経済の時代が幕を開けようとしている。世界経済に対して産業革命と同等以上の大きな影響がもたらされるだろうと。これはデジタル経済というものがこれから台頭しつつあるのですが、その影響力というのはかつて起こった産業革命を越える規模になるであろうということを言っている。先づスケールに於いてはグローバルであるということ。西ヨーロッパのごく一部から始まった産業革命ですけれども、まだ全世界にまでは波及していません。アフリカとかアジア諸国には未だいっていないところがあるのですが、これはグローバルにシームレスに起こっていくだろう。そして期間も産業革命は二度に渡って行なわれて100年以上かかったわけですけれども、これは30年ぐらいで達成されるだろうということを言っています。既にデジタル経済は離陸しつつあるのですが、この図表は少し小さくて読みにくいとは思いますが、アメリカ政府商務省からいただいた資料の一部ですが、この図は産業設備投資に占める情報化投資の比率なのです。1980年というのはパーソナルコンピューターがビジネスに応用された年ですが、その時の産業設備投資に占める情報化投資の割合というのはわずか15%でした。そして1993年にインターネットの商業利用が認められましたが、この時の情報化投資の比率は35%を越える前後、2倍近くまでにいっている。そして1996年ですが、インターネットを積極的に使ってビジネスを起こそう、或いは研究開発も民間レベルもどんどんやろうということになったのが、95年以降ぐらいになると思いますけれども、96年には産業設備投資に占める情報化投資の比率は45%を突破したということです。この指標を、今私も通産省の委員をやっていて日本がどのくらいインパクトを受けているのかということを計量経済学的に推計するチームに入っているのですが、未だ日本の数字は厳密には出ていませんが、企業の関係者の方々にこの米国の指標をご紹介申し上げますと、これは驚異的な数字だと。ということは日本の産業も情報化関連は相当今後伸びるだろう。この投資の仕方は合理化投資になるだろう。即ち、他の産業分野で雇用削減効果を期待して投資することになるであろうということを皆が思うわけです。私もそう思います。米国もそうなっていると思います。恐らく伸びる分野は情報化関連と江崎先生の表にもありましたように情報サービス産業関連、そして恐らく10年から20年後にはバイオ関係が相当伸びるだろうと思います。

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