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事業内容

過去の事業

しまね情報化フォーラム'98開催

パネルディスカッション

 それでは本日のパネラーの方々、アドバイザーの先生をご紹介しご登壇いただきます。まず最初に今回の基調講演をしていただきました江崎玲於奈博士でございます。皆さん拍手でお迎えください。続きまして島根県知事澄田信義様でございます。続きまして島根大学学長北川泉博士でございます。最後に社団法人島根県情報産業協会会長であります株式会社テクノプロジェクト社長井原紀雄でございます。以上の論客をお迎えしてのパネルディスカッションとなりますが、これ以降司会進行はコーディネーターの須藤先生にバトンタッチいたします。それでは須藤先生よろしくお願い致します。

(須藤) それでは早速パネルディスカッションを始めさせていただきます。今日のパネラーの方々は世界に誇る江崎先生をはじめ、島根県が世界に誇る有識者の方々にお集まりいただいております。そこで皆様のご意見をこれからお聞きしていただきたいと思いますが、まず第1段階として島根Soft business parkの意味について、或いは期待も込めてなのですが、どういう形で位置づけていくかということについてお話を伺いたいと思います。最後に3人の先生方に伺った後、総評というかたちで江崎先生からご意見を皆様の発言に対してコメントしていただくという形式を取らせていただこうと思います。まず今日のイベントを開かれたのは島根県情報産業協会なのですけれども、その情産協の井原さんから、このイベントを呼びかけられた趣旨、SBP(Soft business park)、これに対する戦略的な意義付けといいますか、関係付けにつきましてお話いただければと思います。

(井原) 島根県情報産業協会の井原でございます。私は地域振興にも戦略性が必要だろうと思っています。当たり前のことではありますけれども。先程来江崎先生、須藤先生から時代の変革の話がありますけれども、時代の変革を見据えた地域振興のための戦略性がこの地域では特に必要ではないかと思っています。そういう意味でSoft business parkは戦略性が秘められているというふうに私は解釈をしている訳です。先般、県の方が戦略的産業共同研究推進事業というのを今年度から立ち上げられまして、6件の事業が採択されましたけれども、これも今戦略的産業共同研究推進事業と言いましたが、21世紀、未来を見据えたSoft business parkは4つの戦略的産業を育成しようという話があるが、それに関連した事業について県の方が助成をするという、これも戦略的なことだろうと思いますけど、その戦略的産業共同研究推進事業がSoft business parkの立地と密接に結びついているそういうところでSoft business park並びにそういう事業について評価をしたいと思っています。いま一つは、今日のテーマにもなっています、産学官においてSoft business parkが行われるということだろうと思っています。今まで島根県内においていわゆる産学官の連携ということでこういう事業がスタートしたいうのは余りないのではないかと思っています。戦略的な4つのものを県が育成することによって、雇用の場がそこで確保されるということも期待している訳です。島根県政の重要課題、最も重要課題の一つは、若者の定住化ということであるわけでして、それは知事さん始め、県ご当局においては大変努力をされている訳ですけれども、現実はやはり若者がこの地を捨てて東京に首都圏に出かける。それは雇用の場がないということが一番の理由ではないかと思っています。このSoft business parkで戦略的な産業がきちっと成長していってそこに雇用の場が確保されて、島根県内の優秀な若者、或いは他県でもいいのですが、そういうものがIターンとかUターンをしてきてここに定着をしてくれればという強い期待をSoft business parkはもっていまして、そういう意味で今回のフォーラムを企画させていただいたということです。しかも先程江崎先生がvisit pastではなくてvisit futureというふうにお話なさったんですけれども、正にこの世紀末を終って21世紀始まろうとしている時に、visit futureという形でこのSoft business parkが形成されるという意味で、是非これを民間側からも成功させたいという非常に強い気持ちがあったものですから、今日のフォーラムを企画させていただいたということです。また産学官については後ほど触れさせて頂きたいと思います。

(須藤) どうも有り難うございました。今井原さんの方からパネルディスカッション、そしてパネルディスカッションではSoft business parkが島根を変えるということがテーマですけれども、どういう意図でこれを開かせていただいたかというのをご説明なさったと思います。特に島根県の場合には雇用ということもあります。それともっとでかいスケールで総合的に恐らく県の方としてはお考えだと思います。そこで澄田知事の方から21世紀を目前にした島根の姿と、SBPにかけられる期待についてお話頂きたいと思います。

(澄田) まず、本日は江崎先生をこの島根にお迎えしたフォーラムの中で、本県の最重要プロジェクトの一つでありますSoft business parkをテーマにこのシンポジュームを企画していただき、広く企業関係者や県民の皆様方にSoft business parkをPRする機会を設けて頂きましたことを、主催者であります井原会長はじめ、島根県情報産業協会の皆様に御礼を申し上げたいと思います。本日のこのシンポジュームで関係者の皆様に活発に議論していただきまして、Soft business parkをよりよくするための新たな提案、アドバイス等を頂けますことを期待しております。
 さて、このSoft business parkを整備するということによりまして、我々が目指していること、それは先づ定住の促進であります。それと県内産業の高度化と創造的展開であります。振り返ってみますと私は平成5年度に豊かで躍動する島根を目指して2010年までの長期計画を策定しました。その目標は住みよい島根住みたい島根の実現を基本理念といたしまして、これまで様々な施策を実施してきたところでありますけれども、その中で定住の促進それもこれからの島根を担う若者の定住の促進これが本県の最重要課題であります。しかしながら若者にとって魅力ある雇用の場、特に理工系の学生や技術者が希望する就職先、それは研究開発部門をもった企業が県内に非常に少ない。本県から都会の大学に進学しましてUターンを希望する優秀な学生を県内に受け入れるための受け皿は十分ではありません。また県民の皆様の長い間の願いであり、私どもが文部省に何度も粘り強く要望してやっと実現の運びになりました島根大学の総合理工学部と、生物資源科学部が平成8年度から学生の受入れを開始しておりまして、来たる平成12年には初の卒業生が出てまいります。Soft business parkがまさにこれらの若者の受け皿になり、少しでも多くの若者が本県に定住してもらうことが我々の切実な願いでありまして、そのためにこのSoft business parkを何としてでも成功させなければならないと思っております。
 もう一つの目標は県内産業の高度化と創造的な展開であります。本県の産業特にその中心であります製造業は総じて労働生産性が低く、基盤的な技術や、製品開発力が弱いといったような構造的な問題を抱えている状況であります。しかしながら製造業の基盤なくしては他の産業の発展は困難であります。何としても製造業全体のレベルアップが必要であります。また今日も須藤先生や江崎先生からお話がございましたように、情報通信ネットワークの進歩に伴い、新たなビジネスチャンスが生まれてきております。21世紀に向けて本県の産業全体が生き残っていくためには、この高度情報化の流れに各企業が対応していくことが必要であります。しかし現実には多くの企業が高度情報化への対応が遅れているのが現状であります。また一方情報関連の市場というのは急速に拡大している。島根県においても近い将来情報関連産業が県内産業の主力産業の一つになってくると思われます。そのため県内の情報産業は他県に負けないだけの力をつけていく必要があると思います。また今の国の政策動向におきましても、近年の地方分権の流れを受けまして、地方の自立が求められている。地方もまた自立を目指して産業構造等の改革に取り組んでいかなくてはならないと思っています。こうした状況の中で、県内の産業とりわけ製造業が新たな発展を図っていくには、新しい製品或いは技術といったようなものを開発する力をもった企業、所謂研究開発型企業の育成というのが最も重要な課題の一つであると考えております。また情報関連産業につきましては、それ自体が今後の県内産業の中核になるということだけではなくて、県内の他の産業の情報化をリードしてもらうというためにも是非とも必要であり、県としては情報関連を積極的に支援し、情報関連産業を育成していくが必要であると考えております。こうした目的を達成するためにSoft business parkを整備してまいりますけれども、もちろんこの景気が低迷している時代にSoft business parkを整備し、県内外の誘致を図っていくということがいかに困難なことかは十分承知しております。しかしながらこのSoft business parkは定住の促進と県内産業の高度化を進めるものでありまして、来るべき21世紀の本県の振興をリードする切り札であると考えております。そのためには少しでも多くの企業に進出していただくことが必要でありまして、今後も皆様のご意見、アドバイスを積極的に取り入れながら、よりよいSoft business parkを作りあげていきたいと思っております。

(須藤) ありがとうございます。コンパクトに、県の期待を語って頂きました。そこで産学官の協調関係というのが非常に重要になると思うのですが、しかも既に建設着工されておりますが、これは島根大学の後方にある丘陵地なのですね。ここにSoft business parkが出来るのですが、これはどうやら島根大学の動きが非常に重要になってくるだろうということが考えられます。そこで、既に島根大学の方では地域共同研究センターも建設を予定されていると聞いておりますけれども、大学が持つ役割について北川学長の方からお話をいただければと思います。

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