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GIGA BIT ギガビットセミナー開催

第1部 講演とデモンストレーション
【テーマ】 ギガビットと電子商取引の展望
【講師】 経済学博士 須藤修(東京大学教授:社会情報研究所)
電子商取引と消費者保護、セキュリティー

 今言ったような大規模な変動が待ち構えているのですが、その為の条件作りが今国際会議で行われています。重要なのは取り引きにおける消費者保護、セキュリティーの確保と暗号の製作、個人情報の保護、電子マネーを発行する企業の資格要件です。消費者保護の問題については通産省が頑張っているのですが、消費者保護の枠組みとしてはまず法整備が必要である。法律に基く公的機関による監督が必要である。ただし、あまりこれを強くすると窒息するので、基本的には業界の自主ガイドラインを重視するということ。ただし、モラルハザード、要するに業界の都合のいいように作られやすいので信用できるNPOによるナビゲーションおよび評価、苦情処理をするようにしなければならない。それから何かの紛争事故が起きた場合の損害賠償および刑事訴訟ができるような司法における整備が必要です。しかし、実際は日本の裁判制度はなかなかうまく動いていません。セキュリティーの問題では、認証機関のあり方、キーディカバリー機関、書き換え機関の認証技術、認証機関の法的な権限についての要件整備が今後必要で日本政府もおそらくこの1年以内には法案を出してくると思います。すでにドイツでは、マルチメディア法という法律が2年前にとおって施行されています。
 認証国の業務、これはイーコムの図表なんですけれども、実はイーコムワーキングループ8というのは私が顧問をやっている所のワーキンググループなんですけれども、主査は富士通の方が中心で、もちろん日本の情報産業の方々はほとんどはいっていらっしゃいますけれども、そこで作った表なんですけれども、これを説明すると時間がありませんので色々あるという事でイーコム電子商取引実証推進協議会の報告書を読んでいただければと思います。
 それから認証局というのは複数立ち上がります。例えば、建設キャルスは建設キャルスで独自に認証局を立ち上げます。ところが、建設省から出てくる補助金は建設省の認証ルートだけで地方自治体がその補助金を使えるということにならない可能性がある。例えば半分は建設省から補助金がくるけれども、半分は実施財源でやりなさい、という場合自治省がその財源がその自治体にない場合、地方債の既済を認めるという事は自治省からOKが出るわけです。その文書のやり取りがあります。という事は僕が委員会をさせていただいている総合行政ネットワークの認証局をとって自治省と公文書のやり取りをやっていただかなくてはならないんです。ということは、その認証局同士で同じ情報が流れるんですから別のネットワークです。認証局で相互認証(クロスサーティフィケート)というのですがけれどもこれをやるシステムを認証局同士でとっていただかなくてはなりません。そのシステムも開発していただきたいということで建設省に私の方から自治省の総合行政ネットワークの認証局と相互接続をお願いします、と言っておりますし、自治省の方にも建設省に働きかけをお願いします、と言っています。
 もちろん総務庁の霞ヶ関ワンという霞ヶ関のネットワークがあるのですが、これはもうプロテクトがきつい認証局を立ち上げ、かつ暗号通信を行っておりますので外部からも侵入できませんが、唯一侵入できるルートがこの自治省が提案している総合行政ネットワークなんですね。それを回路を使って3,300の自治体は入っていただくことになります。この認証が必要なんですが、それと建設省、あるいは郵政省は郵政省のネットワークがあってそこで地域の伝間なんかのネットワークがあるはずですから、これはまた別のネットワークが動きます。そして認証局を立ち上げられるはずです。それとのまた交渉とかありますのでその認証局同士の相互認証というシステムが今後重要になってきます。そのできるようなフォーマットと言いますか、技術、システム使用をして頂きたい、他、暗合使用もして頂きたい。ファイヤーウォールの作り方も工夫して頂きたい、とか色々なことがあります。
 これについては今年の春自治省の方からCD-ROMで我々の委員会の報告書が出ています。自治省の情報政策室の方に問い合わせていただければ在庫があるんじゃないのかと思いますのでぜひ参考にしていただければと思います。我が国の報告書の中では技術的なレベルで言うとかなりレベルの高いものを作ったと我々は自負しています。そしてこれのシステムが行政のシステムとして動く可能性が非常に強いという事も申し上げておきます。
 それから、民間レベルで重要なのは個人の情報保護であります。これについて申し上げておきますとOECDは個人情報保護8原則を1980年に提出いたしまして、これに基いて我が国の行政のはとんどの地方自治体は個人情報保護条例を持っているはずです。ところが、民間については何も持っていません。EUはどうかといいますと、EU加盟諸国は包括的なプライバシー保護の法制化を行っておりまして民間の企業の持っている個人情報それから行政の持っている個人情報すべて一括的に法整備をしてこれに違反すると刑事罰が与えられる事になっています。そして、これに違反する国とはデータ交換を一切禁止するという条文もあります。
 昨年の10月にEU本部に行って担当官の方々と話をして日本はどういう風な位置付けであるかと言ったら、現行のままではEUやヨーロッパとデータ交換が出来なくなるでしょう。もし日本のサイトに例えばオランダ人がアクセスしてオランダ人がその個人情報を流用させて被害にあった場合はオランダで刑事訴訟、及び民事訴訟を起こすと同時にオランダ政府はオランダ人の情報を日本に渡してはならないという条文を適用する、と同時にEU加盟諸国はEU加盟諸国の一カ国でもそういう被害にあったならばEU加盟諸国すべての情報は日本に渡らなくするという風に言っています。ただし、これは運用で弾用性をもたせているので早急に我々の要求する水準に近づくように努力してくれ、待っていると。ただし、その努力が見られない場合は我々はこれを適用すると言うことを言っています。そこで、今度のサミットあたりも重要なこの問題になるだろうと思います。
 そこでその個人情報の利用なんですけれども、ワントゥワンマーケットというのは個人情報を利用しないとどうにもなりません。ただ、個人情報をマスコミではひとからげにして議論されているんですけれども、分けなければいけないという事です。そして、ハイリーセンシティブ情報、センシティブ情報、基礎情報です。ハイリーセンシティブ情報とは、個人の医療情報、事故歴(運転して事故に遭ったその履歴)とか、宗教とか、イデオロギーとか、これを高度な気密性のある情報とみなすことです。それからセンシティブ情報とは資産、負債、財産、消費動向などです。それから基礎情報は氏名、生年月日、住所、性別ぐらいです。そして私が大蔵省の委員会で申し上げたのはハイリーセンシティブ情報の商業利用は認めるべきではない、もしこれを認めたらヨーロッパとの国交は断絶されるだろう、ということです。
 センシティブ情報はアメリカ政府が言うように、これを認めなければインターネットのビジネスは動かない。従って資産、負債、財産、消費動向などをワントゥワンマーケットに利用することは促進すべきであろう。ただし、不正な情報の流出、流入を行ったような企業については適切な刑事罰を与えなければならない。
 実際、昨年の6月に出た大蔵省の「電子マネー及び電子決済に関する報告書」はそのことが書き込んであるはずです。ハイリーセンシティブ情報というのは行政がかなり持っているのですが、これを民間に使わせてはならないというのは確かでしょう。ただし、民間が集めているセンシティブ情報、これは信用機関はほとんど集めていると思いますけど、これは自由にデータ確保していいのではないか。ただし、行政が持っているセンシティブ情報の民間利用もさせてはならないだろうということはいえると思います。
 問題は基礎情報。これも企業が持っている基礎情報はもちろん利用可能ですけれども、行政が持っている基礎情報を民間に利用させるかどうかが今後の焦点になるだろうと思います。というのは、民間は国民全体の基礎情報を掌握していません。インターネットは非対面取り引きですので「なりすまし」がありえます。従って、データベースを構築していかないと本当にこの須藤かは、判りません。その時の基礎資料を政府が与えるかどうかが重要になります。おそらくアメリカは認めるでしょう。日本は分かりません。イタリアは認めるでしょう。フランスは分かりません。ドイツもわかりません。スウェーデンは認めるでしょう。各国の様々な対応が考えられますが電子商取引、安全な取り引きが行える環境を整備する為に、ここら辺がこの1、2年の議論の国際会議での焦点だろうと思います。それからもうひとつは、その場合、企業はおそらくワントゥワンマーケティングをするために個人情報を集めていますが、誤った情報に基いて僕のかってなイメージを作り上げている可能性があります。
 従って、僕は日経のオンライン世界情報通信サミットの会議でも申し上げたのですが、個人が、例えば、松下電器が僕の情報をどのように加工してデータとして持っているか、私自身、私だけが確認する権利を有するという事は制度的に認めるようにしてほしいということで、オンラインサミットでもほとんどの人が賛成でした。アメリカ政府もそれを認めようと言ってます。ドイツはそれは必要不可欠だと言っています。それによって、間違った情報は直してくれという権利を個人は有するといういう形、これは今度のサミットではまとまると思います。そういう風に、まだ制度的に(技術はかなり進んでいますが)きっちり固めなければならない作業が残っています。おそらくその作業はこの2,3年で決着がつくと思いますので、基本的には解決します。もちろん、まだ残ると思いますけれどもその時に電子商取り引きは爆発すると思います。アメリカ政府はエクスプロージョンが起こるといっていますけれども、正にビッグバンが起こるんです。そして、ビジネスのあり方、社会のあり方が大きく変わるのがこの3,4年の間、あるいはその後に始まるといっていいと思います。

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