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事業内容

過去の事業

GIGA BIT ギガビットセミナー開催

第1部 講演とデモンストレーション
【テーマ】 ギガビットと電子商取引の展望
【講師】 経済学博士 須藤修(東京大学教授:社会情報研究所)
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東京大学 須藤修教授

 丁寧なご紹介と花束までいただきまして、ありがたく存じ上げます。多久和さんからお話いただいたんですが、結構、島根県の話題を新聞記者と会ったときはよくやっていまして、島根県はすごいということを言い続けていたら、あまり地方のことは東京や大阪では伝わらないんですが、この間、5月20日付けの日経新聞で、行政情報化の話をしてくれといわれまして承ったんです。それで、今日、山陰中央新報さんの社長さんにお会いしたら、「島根県の話が載ってますけど、本当に島根県ってすごいんでしょうか?」といわれまして、「いや、本当にすごいんです。私は自治省の行政情報化の委員長をやっておりまして、全県の比較ができますのでこれはもう自慢していいことだと思います。自治省サイドもそういっております。」と申し上げました。あとは、どう県民が産・学・官で力を合わせてソフトを鍛えて、もっと立派なものにするかというところまできているだろうと思います。
 それでは、今日のお話はギガビット回線、これは現在の郵政省の実験の回線でありまして、実験・技術開発・研究開発に使われる専用のネットワークで、一般的な利用はされていませんけれども、私が今ここで言うのはそういう郵政省さんがお作りいただいたインフラ、そしてこれによって高度な技術が発展し、そしてまたこのギガビットレベルの回線が全国的に民用化して使えれば、相当なことができるとまず申し上げておきたい。そうして、汎用化された場合にどういう事ができるか、東京とか大阪にいなくてもすごいことができるということをお話したいと思います。そして、武蔵野、横須賀のNTTサービスインテグレーション基盤研究所と回線を結んで、電子商取引のデモンストレーションをさせていただきます。その前に、今世界でどういう状況が起こっているのか、そして島根県、地元の産・学・官はどう対応する必要があるのかということをお話しようと思います。そして、会場には若い人がたくさんきていらっしゃいますので、ぜひその担い手になっていただきたいと思います。非常にクリエイティブでやる意義のある仕事だろうということを強調しておきます。それでは、始めます。

デジタル経済は幕を開けようとしている
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「デジタル経済の離陸」(須藤教授のPC画面より)

 デジタル経済、特にアメリカ政府がそう言っておりますが、これに関して6月に行われるサミットの重要議題というのが、デジタル経済と電子商取引に関するものがかなり大きなウエイトを占めておりまして、それから、電子政府の実現、行政のネットワーク化です。これは、相当の問題になると思います。私もノルウェー政府からの依頼で、同国での国際会議にいったんですけれども、その会議は世界各地から研究者・政治家・行政家・企業家の方々がいらっしゃいまして非常に有意義な討論ができました。
 同時に、行政官レベルで今月、暗号の問題や認証の問題についての国際会議がかなり開かれています。私がノルウェーにいっている最中にパリでは暗号技術に関して、政府間の課長補佐レベルの重要な会合がなされているはずです。そこで、サミットに6月に望むわけです。そういうふうに、報道はされていませんけども、今この時期に相当のことが動いているわけです。そしてその条件整備が1、2年で確定されて、2003年には爆発的な規模の電子商取引が行われることになるだろうということが言えると思います。
 ちなみに、アメリカの昨年の電子商取引の実勢ですけれども、約3,000億ドル、36兆円規模です。これは抜きんでた数字ですけれども、97年と比べても飛躍的に増大します。この趨勢はもっと続き、2003年71兆円ですけれども、アメリカはもっともっとすごい数字になるだろうということが言えます。そして、アメリカ政府はこういう事を言っています。
 「今、デジタル経済が幕を開けようとしている。それは世界経済に対して産業革命以上の影響をもたらすことになるだろう。日米欧はデジタル経済の発展に向けて体制を整えつつある。グローバルな規模で体制が整えば、世界経済は今後数十年間の成長が可能だろう。」
 そのデータの一部を紹介します。産業設備投資に占める、情報化投資の割合は96年の時点で45%を突破しました。これは紛れもなく、経済の中心が情報産業であることを物語っています。おそらく今年は確実に50~60%の水準にいっていると思います。といいますのは、2000年問題もありますので、情報設備投資というのは非常に大きなウエイトを占めているということです。
 経済成長に対する情報産業の寄与度ですけれども、95年の時点では41%であり、おしなべて、90年代を通して30%以上の貢献度があったということがみとめられます。家電、自動車産業のそれを見てもこの水準には届いていません。したがって、ここから見ても情報産業が今や経済の中心であるということは疑う余地はないと言うことができます。
 しかし、これらの統計データはアメリカ政府に言わせれば、「まだプレリュードだ、即ち序の口に過ぎない、デジタル革命は始まったばかりだ。これから歴史を画する巨大な社会変動が起こる。それは、かつて起こった産業革命を大きくしのぐ大変革をもたらすだろう。我々の常識が覆っていくだろう。この10年20年の間にがらがらと変わっていく。まず、ビジネスから変わり、さらに行政・政治・教育システムそして我々のライフスタイル全般が変わっていく。労働形態ももちろん変わるだろう。そういうふうに将棋倒し的に全てが変わっていく」こんな展望を出しています。

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