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GIGA BIT ギガビットセミナー開催

第1部 講演とデモンストレーション
【テーマ】 ギガビットと電子商取引の展望
【講師】 経済学博士 須藤修(東京大学教授:社会情報研究所)
発展する電子商取引
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 デジタル革命の核心は、あくまでもビジネスです。電子商取引です。但し電子商取引はそれにとどまるものでなく、社会システム全般をかえてしまうものです。
 電子商取引には、大きく分けて二つの領域があります。一つは、B to B(Buisiness-to-Buisiness)。企業間取引を意味します。もう一つは、B to C(Buisiness-to-Consumer)すなわち、対消費者市場を意味します。成長の度合い、取引規模をみますと圧倒的に前者のほうが大きく、この趨勢は当面変わりません。しかし、徐々に後者のB to Cも変わってきます。
 B to Bについて特筆すべき事をお話しておきますと、現在公共事業の市場は50兆円規模で、これを2003年には入札、押札、審査、設計図、仕様書は全部インターネットで送るシステムを構築し、2005年までには3万8千社がこのシステムを使うことになります。建設CALSの大きな点は何かと言いますと、ほとんどが競争入札になりまして、世界中の企業が日本の公共事業に参入してくると言うことを意味します。これは日本の公共事業にとっても建設事業者にとっても大きな変革を見ると言うことになるでしょう。これがどういうものになるかということは今後みんなで考え、より良いものにしていかなければならないわけです。
 それから、自動車のCALS、トヨタが看板方式と言うシステムを作っていますが、これをインターネット上で行うシステム、VCALS(自動車CALS)がまもなく動き出します。これも、きわめて大きな市場となるでしょう。トヨタは従来の看板方式を改めまして、すでに仕様書、設計図等のデジタル化、これをアウトソーシングしだしております。さらにその他にも、航空機CALS、造船CALS、スチールCALS、いろいろなCALSが連結しだし、ビジネスのあり方も変わっていくということです。
 マスコミに良く取り上げられるのはBtoCですけれども、これは財及びサービスのデジタル配信と言うことです。よく目に付くのは、ソフトウエアのインターネット配信、新聞のインターネット配信、音楽CDのインターネット配信であります。昨年12月に日本音楽家著作権協会JASRACはインターネット配信を認めました。それに向かって動き出しています。これに関する制度とか権利保障の問題で混乱している面もありますが、いずれ解決すると思われます。
 わかりやすい市場ではないと思いますが、市場規模が相当大きなものになると言うのは、電子証券取引、電子保険取引、電子バンキング(インターネットバンキング)の領域があります。そして、これは現在ビッグバンが進行中で、それぞれ別の業態だったんですが、これが融合します。そして、金融企業はコンサルティング(個人資産管理)をやることになるでしょう。この市場が相当大きなものになります。
 現在、B to BとB to C両方動いているんですが、これは別々のシステムで動かすことが前提になっています。しかし、これでは不効率です。従って、昨年の電子商取引に関するマドリッドでの国際会議での主なテーマになっていたのが、B to B to C、両者を連結させるプラットフォームを世界中の企業あるいは政府が共同でつくろうではないかということです。
 今までのビジネスと違うのは、今までは、一番最初に部品があって組み立てがあって対消費者市場があると言う形でしたが、逆の方向に動きます。まず、受注、そこから川下に向けて情報が流れていって物が作られる。企業は在庫を持たない分、そのコストが減るわけです。消費者のニーズに応じて、速やかに製品を供給する体制を作る、その体制で有名なのがDELコンピュータが有名です。そういう形で今ビジネスのあり方が変わりつつあるわけです。
 電子商取引で有名なのは、他にアマゾン・ドット・コム社があります。これは、アメリカの仮想店舗(インターネット上にある店)で書籍を書店で買うよりも2割から4割安く購入することができます。それから、旅行の予約、衣類、音楽CD、証券取引が伸びています。消費者のニーズが高いのは、コンピュータ部品、本、旅行などですが、ニーズが小さい証券取引においては、市場規模が最も大きく、アメリカではこの電子証券取引が非常な勢いで伸びております。
 1996年、インターネットを使った取引口座は150万口座ありました。1年後には300万口座に達し、2001年には1,000万口座に達するものと見られています。アメリカ政府が今年の春発表したところによりますと、個人投資家の3割がインターネット取引をやっているということです。アメリカの場合、確定拠出方年金401kいうのがあります。年金基金は給料とともに戻ってきて、それを自分で運用するわけです。運用に失敗すれば老後のお金はなく、上手くやるともっと儲けることができるというシステムです。我が国も、この年金制度について厚生省、大蔵省は今検討中で、おそらく確実に導入されます。すでに都銀、生命保険等はこれに向けた研究及び準備体制を取っています。
 ここで有名なのは、チャールズ・シュワブと言うサンフランシスコにあるベンチャーですけれども、Webで1,500本の金融商品のデータを並べまして、検索エンジンで検索すると、自分に合った金融商品が購入できるようになっています。このシステムを実は同じようなものをソニーがこの10月くらいからやることになるでしょう。ソニーはすでに単なる製造メーカーではなく、すでにソニー保険と言う保険会社を持っていますが、証券取引業務にも参入、おそらく銀行業務にも入ってくるでしょう。したがって、アメリカ政府が言っていますけれども、今までの産業ごとの区分けは今後ありえない。産業革命がおこる。
 いろいろな産業が融合して、まったく別のビジネスになっていくと。その体制を各国で整えなければならない。

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