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事業内容

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島根県知事に情報産業の振興に関する要望書を提出

要望書
要望書
島根県情報産業協会は、情報産業の振興を通じて島根県の経済発展に寄与することを目的として活動をしております。
さて、先般発表された「しまね産業活性化戦略」の第一次とりまとめにおいて新たに「IT産業の振興」が重点項目に加わりました。当協会として島根県方針に賛同すると共に「IT産業振興策」により、情報産業が県内産業の柱の一つとなるよう最大の努力を惜しまない所存です。
島根県方針を達成するために当協会として次の二点について要望します。
平成20年1月8日
(社)島根県情報産業協会 会長 多久和 厚
要望1 「県外ビジネスを促進する為の支援策」
1-1 外貨獲得が出来るIT技術者教育への支援
県内のソフト系IT企業は、従業員数が少なく、都市部同業者からの下請けに依存している企業が多いため、元請となって県外の仕事を呼び込むためには、商談推進から提案書作成・顧客仕様のまとめを担当できる下記エンジニアが必要です。
  • システム営業(調査・立案を行って受注するまでの業務)
  • プロジェクトマネージャ(受注後において開発プロジェクトを計画・推進・管理する業務)
  • システムエンジニア(システムの分析・設計の業務)
県内IT企業の大半は従業員数が少なく、これらシニア技術者が不足しています。社内研修を行うことの出来る教育スタッフを完備した企業は県内にほとんど無いのが実態です。県外研修を利用する場合、旅費宿泊費がかさみ高額な費用が必要となり、実施していない企業がほとんどです。
このため、シニア技術者の育成に支援をお願いしたい。
(1)シニア技術者教育コースの創設
(2)県外シニア技術者研修費用の補助
1-2 県外ビジネス推進のための支援
島根県は首都圏からの企業誘致に向けて特例措置(家賃・通信費等の補助)を設けています。IT産業振興の早期効果を実現する手段として、企業誘致は必要なことですが、一方で県内のソフト系IT企業においては、県内での受注は減少の一途であり、首都圏を中心に県外からのビジネスを呼び込むことが重要であると認識しております。
誘致対象となる企業向けだけでなく、地場企業の県外ビジネスに向けた支援策も合わせて検討すべきことと考えます。
(1)商談推進とプロジェクト管理を行なう専門家の支援など
要望2 「島根県はOSS(オープンソースソフトウェア)の先進県を目指せ」

「Ruby」はシステム開発の有力な道具であり、開発者が松江にいることのアドバンテージは大きいものがあります。多くのマスメディアが「Ruby」を取り上げることで島根県のOSSへの取り組みが広く知られることとなりました。「Ruby」を先行させる戦略は功を奏していると言えます。
中長期において「Ruby」を確実な実のあるものにするために、「Rubyを中核としたOSSの先進県」としての島根のイメージをさらに拡大する必要があります。
OSS先進県へ向けての具体策として、次の4点を要望します。

2-1 Rubyを中核としたOSSによる庁内システムの構築
OSSを活用した自治体システムの取り組みは、経費削減が期待されることから全国的な潮流となっています。島根県においては「Ruby」を中核としたOSSによる庁内システムの構築を推進していただきたい。
庁内システム調達は一般的に首都圏の大手ベンダーに発注される場合が多く、当県においても同じ状況であると思われます。庁内システムの調達仕様をRuby或いはOSSでの開発にすることにより、庁内経費削減と、地元ソフト系IT企業の受注拡大が期待できます。
その事でRuby技術者の需要が生まれ、育成された技術者がさらに県外ビジネスの獲得へ向かう、という好循環が繰り返されることで、IT産業の振興を目指す島根県の2010年までの目標達成を早めることが出来ます。
2-2 Open Officeを県標準にする
島根県の文書作成ソフトは「Word」と「一太郎」が混在しており、標準を持ちえていません。
Open Officeを島根県の標準として採用することにより、OSSの先進的な取り組みとして、全国へアピールできると共に、島根県の経費削減にも効果があります。(注1)
2-3 OSS先進自治体の事例研究と情報交換を実施
OSSの採用は地場企業に受注チャンスが拡大する(注2)反面、開発されたシステムが県の資産となる為に、継続的にメンテナンスの責任を負うことになるので、県職員の業務負担が増大します。
これらは先行して取り組んでいる自治体に共通した事項であり、これら自治体(大分県・長崎県・北海道・沖縄県など)の事例研究や情報交換が解決の有効な手段になると考えます。
2-4 OSSをサポートする企業との連携、誘致
OSSの主だったビジネスは開発と運用支援にあります。先行して取り組む企業との連携・誘致は地元事業者にとってビジネスチャンスを増やすきっかけになります。(注3)
(注1) ワード、エクセル、パワーポイントが含まれている製品である「MS Office Standard」の1ライセンス料は42,400円(税別。大量に購入する場合は安くなる)に対し、OpenOfficeは無料。
(注2) 長崎県の事例では、OSSを採用し発注を分割することによって、地元受注率が5年間で件数として1.6倍、金額で4.5倍にアップしている。
(注3) アシスト社は宇部にサポートセンターを立地(OracleとJP1)3年後に30名体制を目指している。松江市内に地元企業と連携して、OSSのサポートセンターを設置したい意向がある。
OSSのデータベースであるMySQLをサポートするスマートスタイル社が松江にサテライトオフィスを設置、今後の拡大が期待できる。
参考 「オープンソースソフトウェアとは」
広くソースコードが公開されており、誰でも制限なく、自由に参照できて、複製、実装、再配布ができるもの。その際に費用が発生しない。
代表例:Open Office、LAMP(Linux・Apache・MySQL・PHP・Perl・Python)、Ruby・Ruby on Rails・HTML・XML・TCP/IPなど。